今回は、衣類の虫食いと防虫剤についてのお話をしたいと思います。衣類の害虫といえば、ヒメカツオブシムシが代表されます。
幼虫の期間にウールやカシミヤなどのたんぱく質繊維を好んで食べます。

現代は、冬場でも室内は暖房で暖かいため、害虫も年間を通して活動しています。また、このカツオブシムシの幼虫は、衣類が汚れていなくてもウールやカシミヤは標的となります。

大切な衣類を害虫から守るためには、防虫剤が不可欠です。一言に防虫剤と言っても【パラクロルベンゼン】や【ナフタリン】・【樟脳(しょうのう)】そして無臭の【ピレスロイド系】と様々な種類があります。

有臭防虫剤の【パラクロルベンゼン】や【樟脳(しょうのう)】はラメ製品の光沢を消失させることもあります。基本的に無臭タイプは安全ですが、金属ボタンを変色させることが稀にあります。

そして一番注意していただきたいのが、同じクローゼットやタンスの中に、違う種類の防虫剤を複数入れることです。防虫剤はガスを発して害虫を駆除します。ですから違う種類の有臭防虫剤を複数使用すると、ガス同士が化学反応を起こし、衣類を変色させたり、シミを作ったりしてしまいます。

ですので、同じクローゼットやタンスの中では1種類の防虫剤のみご使用ください。また、使用済みの防虫剤もそのまま放置せず、必ず取り除いてから入れ替えをしてください。

また防虫剤は湿気と化学反応を起こし、ラメ、ビーズ、金属に光沢消失などの悪影響を及ぼします。ですので、防虫剤を使用する場合は、除湿剤との併用をおすすめいたします。

ここで、衣類がガスにより影響を受けるケースをご紹介します。防虫剤のガスだけではなく、大気汚染の原因である酸化窒素ガスは、綿、ナイロン、アセテート製品に使われている染料と反応し変色を起こすことがあります。

ハンガーにつるしてあった商品が肩部分だけ変色してしまった等の経験はございませんか?クリーニングのポリ袋は湿気を閉じ込めるだけでなく、汚染ガスを【透過】する性質があります。

それによりガス退色(変色)が進行します。また酸化窒素ガスはガスコンロ、石油ストーブなどの燃焼ガスにも含まれます。

前回も少しお話しましたが、【虫干し】は衣類にとって【カビ】や【害虫】【ガス退色】から守るために有効な手段です。面倒でも1ヶ月に一度は【虫干し】することをおすすめいたします。

衣類の湿気も除去できるとともに、クローゼットの中の湿気も緩和します。