衣類がカビてしまった
今回カビのお話をしたいと思います。店頭においても、『衣類がカビてしまった』という相談件数が多く、日々、対処しております。
では、カビとは何なのでしょうか?
カビは真菌といわれる微生物ですが、きわめて小さな【植物】という認識でいいと思います。植物と同じように根っこがあり茎が枝分かれしてその先に種を実らせます。
衣類に付着しているカビは、繊維の中に根を食い込ませ繊維を分解し養分としております。ですので、カビが繁殖した衣類は、その時点で生地そのものが傷んでいるということになります。
カビは70%以上の湿気があるところと、たんぱく質や脂肪などの栄養があるところでは発生しやすくなります。ウールや絹はたんぱく質製品であり、そこにシミや汚れがあればさらにカビの発生や虫食いされやすい状態になります。
綿製品もカビは発生しやすく、白カビというよりは黒カビになりやすい繊維です。カビは肉眼で見えている時点で、生地への侵食がすすんでいるものと認識してください。
表面の白い胞子を取り除いただけではカビの根が繊維に残りまた、カビが発生してしまいます。カビが生えてしまった場合は、クリーニング店でドライクリーニングと水洗いのダブルクリーニングをおすすめいたします。
そうすることでカビはほぼ除去できますが、カビを完全に除去しても侵食により繊維が破壊され、色素が失われている場合もあります。その場合は、色掛けなどをしなければならないでしょう。
また、黒かびの場合は、洗っただけでは落ちないケースも多く、その際はシミ抜き作業が必要になってきます。では、カビの発生を抑えるためにはどのようなことをしなければいけないのでしょうか?
日本は湿気の多い国です。そして現況の日本では密閉された住環境が多くなっています。そこで衣類の【虫干し】をおすすめします。
虫干しは、晴れた日に部屋の窓を開け室内で陰干ししてください。そうすることで湿気を除き、風通しの悪い収納スペースに新鮮な空気を入れる効果もあります。
よく埃が付くからと言ってクリーニングから返ってきたビニール袋のまま保管をされる方がいらっしゃいますが、これは湿気の発生を助長することになるので、必ず袋から取り出して保管してください。